スランプを克服する考え方(反省除去)-フランクル心理学004-

フランクル心理学 スランプを克服する考え方《反省除去》

自己を超えてゆけ。

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「反省除去」が、苦しみの原因となっている「過剰な自己反省」「過剰な自己観察」にストップかけることであれば、自己にとらわれない心理状態を実現することが、「反省除去」の目指すゴールになります。

フランクル心理学の2大技法の「逆説志向」が、自分の苦しんでいる症状をあえて望むことで、自分を笑い飛ばそうとするのならば、それもまた「自己にとらわれない」意識をつくりだそうとすることであり、「反省除去」と共通しています。

日本では自己に執着しないことを「無我の境地」といいますね。フランクル心理学には、「無我の境地」の意味を含む言葉として、次のものがあります。

自己超越(self-transcendence)

この「自己超越」は、フランクル心理学「ロゴセラピー」にとって、とても重要な核となる考え方です。フランクルはこう述べています。

フランクル
フランクル

自己超越とは、人間が、自分を無視し忘れること、自分を顧みないことによって、完全に自分自身であり完全に人間であることです。なんらかの仕事に専心することや、なんらかの意味を実現することによって、あるいは、ある一つの使命またはある一人の人間、つまり伴侶に献身するこによって、人間は、完全に自分自身になります。

『宿命を超えて、自己を超えて』(V・E・フランクル[著]、山田邦男[訳] 春秋社)p106-107

ここでの「自分を顧みない」が、「反省除去」に通じています。つまり、「反省除去」をすることで、人は「自己超越」していくことになるのです。

自己を中心とした欲求によって描かれる成功(お金持ちになりたい、組織で高いポストにつきたい、起業して成功したい、人から尊敬される成功者になりたい)を追い求めるのではなく、自分を忘れ去る「自己超越」を心がけ、目の前にある「すべき事」に没頭するような生き方をフランクルは、すすめています。

自分にこだわることをやめて、自分を越えた存在、つまり、他人や仕事や社会や自然と関わり、それらから求められる事に没頭している時、無意識の大いなる力が働き、その人に潜在している真の人間性が発揮され、よりよい心理状態が実現されるのです。

その結果として、自分の望んでいる成功が(芸術家にとっては創造性豊かな作品が、スポーツ選手にとっては勝利が、ビジネスマンにとっては高い成果が、人間にとっては幸福が)実現されてくるのです。

「自己超越」というコンセプトは、芸術家だけでなく、創造性を発揮することを求められる全ての人にとって、スランプ克服の基本的な考え方になります。

そして、「自己超越」していくことができれば、人は「生きる意味」を満たすことができ、より充実感をもって生きていくことができるのです。

フランクルの「反省除去」という技法の根底には、こうした深い思想があり、それがあるからこそ、より多くの「生きることに苦しむ人々」を世界規模で救い続けることができたのです。

自分を忘れ去れ。フランクルの言葉に耳を傾け続けたいものです。

(文:まっつん)

注意
「反省除去」は万能の心理療法ではありません。精神科やメンタルクリニックに通院されている方は、必ず主治医のご判断に従ってください。

フランクル
フランクル

ヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl 1905〜1997)ロゴセラピーの創始者。オーストリア出身の精神科医、心理学者。世界三大心理学者(フロイト、ユング、アドラー)につぐ「第4の巨頭」。第2次世界大戦中のナチス強制収容所から生還する。その体験を記した『夜と霧』は世界的ベストラーとなる。「生きる意味」を探求するロゴセラピーという独自の心理学を確立し、世界に大きな影響を与えた。享年92歳。著書:『夜と霧』(みすず書房)『それでも人生にイエスと言う』(春秋社)『意味による癒し』(春秋社)ほか。


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フランクルの画像 ヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl) 参考 フランクルの「生いたち」から、その人生心理カウンセラーまっつん(松山淳) 参考 『君が生きる意味』(ダイヤモンド社)紹介ページ心理カウンセラーまっつん(松山淳)