緊張や不安を軽くする方法(逆説志向)-フランクル心理学003-

フランクル心理学 不安や緊張を軽くする方法(逆説志向)

笑いの力

笑顔ユーモアの写真

3つの症例をあげました。「逆説志向」のポイントが「ユーモア」「笑い」であることを、ご理解いただけたと思います。

自分が苦しんでいる症状を不安がったり、恐れるのではなく、むしろ、それを「大げさに望む」ということ自体が、ユーモアに満ちていています。日本語の表現でシンプルに言うと、「笑い飛ばす」ということですね。

ところで、どうしてユーモアをもっておおげさに望むことが、「そうなってほしくない症状」を軽くしたり消したりするのでしょうか。

フランクル
フランクル

「笑いにかぎらずすべてのユーモアは距離をつくり、患者をその神経症や神経症の症状から遠ざからせるからである。そうして、まさにユーモアほど人間に、なにかあるものと自分自身とのあいだに距離をつくらせるものはあるまい。ユーモアをとおして患者はたやすく、自分の神経症の症状をどうにか皮肉り最後には克服することをも学ぶのである」

『神経症1』(V・E・フランクル[著]、宮本忠雄、小田晋[訳]みすず書房)p161-162

「ユーモア」つまり、「笑う」ことによって、人は自分と症状との間に、心理的な距離をつくりだすことができます。そうした心の働きをフランクルはこう呼んでいました。

自己距離化(self-detachment)

症状に苦しんでいる時には、不安や恐れに心が飲み込まれてしまっている状態です。自己距離化ができていない状態です。これでは、「そうなってほしくない症状」をコントロールすることができません。

でも、自分と症状に距離がとれて、客観的に見ることができれば、心の余裕も生まれてきて、症状をやわらげることができます。こうした心理的作用が、無意識のレベルで自然に行われるとフランクルは言っています。

ですから、「逆説志向」を試みようとする時に私たちとしては、あまり難しく考えず、どう作用するかは「自分の心」に任せておいて、とにかくユーモアをひねり出して、笑い飛ばそうとする姿勢を保つことが大事ですね。

まっつん
まっつん

私はもともと人前で話すのが、とても苦手な人間でした。現在は、だいぶ緊張することなく話すようになれましたが、今も得意かと聞かれたら、「そうです」と言い切れない自分がいます。というのも、100人、200人の前で講演をする時などは、今も心臓がバクバクすることがあるからです。そんな時に、私はいつも「逆説志向」で、自分を笑い飛ばしています。「よっしゃーきたー、この緊張と心臓の鼓動を会場中に響かせて、手をぶるぶる震わせてみんなを大笑いさせてやるぞ〜」などと…。すると不思議なもので、落ち着いてくるのです。これでユーモアがあるかどうかは、ごかんべんを…!

フランクル心理学は思想や哲学であって、「心理療法として役に立たない」という批判があります。それはきっと『夜と霧』が世界的ベストセラーとなって、そこに書かれてあることがフランクル心理学の全てだと考えている人が多いからでしょう。

でも、少しつっこんで学ぶと、「逆説志向」という実際に患者を治癒した心理療法があることを知ることができます。

『夜と霧』は、やや暗く重いイメージがありますが、フランクル自身はバイタリティにあふれ、とても明るくユーモアにあふれる人でした。亡くなる直前まで、家族を笑わせていたというエピソードも残っています。

不安や緊張する場面に出くわしたら、ぜひ、自分を「笑い飛ばす」という「逆説志向」を思い出してみてください。

逆説志向のポイント

自分の症状を深刻にとらえるのではなくて、笑い飛ばす。

(文:まっつん)

注意
「逆説志向」は万能の心理療法ではありません。精神科やメンタルクリニックに通院されている方は、必ず主治医のご判断に従ってください。

フランクル
フランクル

ヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl 1905〜1997)ロゴセラピーの創始者。オーストリア出身の精神科医、心理学者。世界三大心理学者(フロイト、ユング、アドラー)につぐ「第4の巨頭」。第2次世界大戦中のナチス強制収容所から生還する。その体験を記した『夜と霧』は世界的ベストラーとなる。「生きる意味」を探求するロゴセラピーという独自の心理学を確立し、世界に大きな影響を与えた。享年92歳。著書:『夜と霧』(みすず書房)『それでも人生にイエスと言う』(春秋社)『意味による癒し』(春秋社)ほか。


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フランクルの画像 ヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl) 参考 フランクルの「生いたち」から、その人生心理カウンセラーまっつん(松山淳) 参考 『君が生きる意味』(ダイヤモンド社)紹介ページ心理カウンセラーまっつん(松山淳)
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