ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)

話すことの大切さ。

精神分析とか心理学とか固いことを言わずとも、私たちは日常的に、アンナが言う「談話療法」を自然と行っていますね。

例えば、こんな感じで…。

30代会社員Aさんは、仕事でひどい失敗をして、深く傷ついていた。会社の人間には言えず、悲しみや悔しさを心の中に抑えこむ。そんな時、たまたま学生時代の友人と街でばったり出会い、飲みに行くこととなる。本音を言い合える友だ。酒も手伝い「実は…」と、悩みを洗いざらい喋ってみた。すると、翌朝、心がとても軽くなっていって元気が出てきた。

喜怒哀楽、感情を抑え込まず、本音で自由に話すことは、「心の健康」に、とてもいいわけです。心の健康法です。

意識の三層構造

さてさて…、フロイトに話し戻します。

フロイトは、心を三層に構造化しました。

「意識」「前意識」「無意識」です。

「意識」は、私たちが「今」意識できている部分です。「前意識」は、普段は忘れているけれど、努力すれば比較的簡単に意識化できる領域です。「無意識」は、日頃、意識できず、そこにある記憶や感情にタッチするためには本人の相当な努力や専門家の協力が必要となります。

先ほどの30代会社員Aさんの例…。

仕事で失敗してさほど時間がたっていない時の記憶や感情は「意識」の領域にあったものです。時がたてば「前意識」へと移っていくでしょう。数年後、Aさんに聞けば、「そういえば、そんなことあったな」なんて、明るく答えてくれるかもしれませんね。

これをAさん本人が、まったく思い出せないとなると、無意識の領域へと「抑圧」した(抑え込んだ)可能性が考えられます。

Aさんがこの失敗以来、なんとなく気分の晴れない日々が続いていたた。数年後のある日、その悔しさ悲しさを突然夢を見てリアルに思い出した。その日会ったカウンセラーに思い切って吐き出した。すると、とてもすっきりし何年も続いていた気分の重さがなくなり元気になれた。だとしたら、抑圧していた「悔しさ悲しさ」が、無意識で作用していたことになりますね。

「無意識」にある記憶や感情を解放することで、あるネガティブな心理的症状が消えるのならば、無意識にあるものを意識化する(自分でわかる)ことは、ポジティブな作用を人間にもたらすということです。

もちろん、人の心は複雑でそんなシンプルにはいきませんが、この心を癒す基本的な仕組みは、100年以上の時を経ても変わっていません。

フロイトの弟子と言われるユングやアドラーは、フロイトの「無意識」に対する考えに、異を唱えるようになります。その確執にフロイトは深く苦悩します。

とはいっても、フロイトが「無意識」の概念を学問的に確立してくれたお陰で、後につづくユングやアドラーは、自身の理論を発展させていくことができたわけです。

フロイトの功績、そして彼自身が偉大であったことは、変わらない事実としてこれからも歴史に刻まれ続けることでしょう。

(文:まっつん)

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