アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow)

マズロー

「トランスパーソナル心理学」へと

「光に包まれて、神様に会った」。そんな宗教的な神秘体験を含んだ「至高体験」をクローズアップすることは、学問として非科学的であるという批判を受けることになります。

でも、マズローは自己実現的人間が「至高体験」についてふれることから逃げず研究を深めてきます。そして晩年、「自己実現」の上位概念として、

「自己超越(Self-transcendence)」

という考えを提唱するようになります。

冒頭にあった図は、「自己実現」の上にある「自己超越」も表現しています。

「自己超越」とは、自己を越えた存在(自然・宇宙・神)を前提として、それらとの一体感などから自我意識が消えて、すべきことに極度に集中しているような状態です。

「自己超越」は、心理学「第4の勢力」といわれる「トランスパーソナル心理学」へとつながっていく考えです。

マズローは1961年に「トランスパーソナル心理学」の学会を仲間とともに創立すします。ですが、その翌年、マズローは急逝してしまうのです。「トランスパーソナル心理学」は、後継者たちに引き継がれ発展をしていきます。

「自己超越」の実際的な体験のひとつに「フロー体験」(flow expreience)があります。心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱したコンセプトです。

 フロー体験の代表例は、アスリートたちに発生する「ゾーンに入る」体験です。「ゾーンに入った」選手たちは、特殊な心理状態になり、高いパフォーマンスを見せます。

 「フロー体験」も、自己超越の一種と考えられ「トランスパーソナル心理学」の研究領域です。

 マズローは「人間性心理学」(第3勢力)から「トランスパーソナル心理学」(第4勢力)への架け橋となった偉大な存在です。私たちの知る5段階の「欲求階層説」は部分のトピックであり、マズローの知見の深さと広さを知ると、見慣れた「欲求階層説」の中に再発見する何かがあります。

(文:まっつん) 

後記
部分的ですが、マズローが唱えた心理学をまとめみて、自己中心性からの脱却が、自己成長のヒントであるなと感じました。「自分だければいい」ではなく、「みんなが、この世界がよくなるに何をすればいいか」。それを使命として、自己超越の視野に立って考えることが、人間をより高いレベルへと成長させてゆくだろうと。そして、それを成した人が「自己実現した」といえる人間なのでしょう。(まっつん)
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