カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)

ユング

ユングはコンプレックス研究の第一人者

さて、少し時計の針を巻き戻します。

ユング初期の研究「言語連想検査」について、です。
ユングは精神科医としてスタートを切った頃のお話しです。

まっつん
まっつん

「言語連想検査」は、ユングが発明したものではありません。当時としてはポピュラーなものでした。でも、ユングは「言語連想検査」を極めて、言葉が返ってくる「反応速度」に着目した点が他の医師と違う点でした。ストップウォッチで測っていたんですよ。

「言語連想検査」では、「頭」「緑」「水」「歌う」「死」などなど、100の単語を患者に投げかけ、連想する言葉を答えてもらいます。これを2回行います。

あなたは、「頭」、と言われたら、どんな言葉を連想しますか?すぐ答えてください。

「死」、では…?

「水」、と言われたら、何て答えますか?

ユングが、ひとりの患者に「言語連想検査」を行うと、すぐ答えが返ってくる単語もあれば、5秒や10秒もかかる単語もありました。2回行いますので、1回目と2回目の連想語がまったく違う場合もありました。

言葉がまったく出てこないなんてことも…。

連想するだけですから、とても簡単ですよね。でも、出てこないのです。「水」だとすぐ答えれるけど、「緑」だと患者は、あせって動揺してしまう、そんなケースがあるのです。

なぜ、でしょう?

ユングは、その原因が無意識にあると考えました。患者がひどく動揺したり、極端に反応速度が遅くなるのは、意識以外の領域=「無意識」が存在し、「無意識」にある何かが意識に作用を及ぼして、妨害していると考えたのです。

つまり、連想を邪魔する何かが無意識にあるのです。

ユングは、この邪魔する存在を

「感情によって色づけられた複合体(feeling-toned-complex)」

と名づけました。

「コンプレックス」(complex)

私たちが現在、「劣等感」という意味合いで使う言葉—「コンプレックス(complex)」の源流がここにあります。

まっつん
まっつん

ちなみに、「劣等感」と「コンプレックス」を、ほぼ同じ意味で、私たちは日頃、使ってますよね。でも、専門的には「劣等感」と「コンプレックス」は違うのです。「劣等感」は、「自分が劣っている」という感覚です。この劣等の感覚が意識に作用して何らかの障害を引き起こす時に「(劣等)コンプレックス」と呼ぶのです。  

「言語連想実験」によって「無意識」にある障害物「コンプレックス」を明らかにし、それについて患者と話し合うことでユングは治療を進展させていきました。

「コンプレックス」について、以下のサイトで、さらに詳しく説明していますので、ご興味のある方は、ご覧になってください。

分析(ユング)心理学にとって「コンプレックス」は、大切なキーワードです

余談ですけれど、ユングは、臨床現場で「言語連想実験」を使って、殺人犯を見つけ出したこともあります。というと、何か思いつきませんか。言葉を投げかけて反応を見る………、そうですそうです、近代の犯罪捜査に使われる「嘘発見機」開発の基本的な考え方は、この「言語連想実験」にあるのです。
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